月
月輪さん (8wfmqqyc)2023/12/7 18:51 (No.83994)削除【 大越 信の過去 】
………………、( 横たわっている。 曇天の空の下。 鈍い痛みを走らせながら少しずつ意識が遠のいていく。周りの音も聞こえなくなっていく。体が楽になっていく…、まるで3徹した後の就寝の時の凄く体が楽になっていく感覚。この感覚は…これで何回目だったかな…、 )
( 家族が嫌いだ。 父母その親族もひっくるめて俺は嫌いだった。 俺の両親は所謂「できちゃった婚」に入る人物達。 当時父母両方共浮気していてその流れで俺は産まれちまった。 家庭環境は複雑でごっちゃごちゃになっていく。俺が産まれたことによってその家の雰囲気は最悪になる。 とどめは耳にたこが出来るほど聞いた「お前なんか産まれて来なければ」だった。 親族達は流石にそういう事を言う事もなく基本は父母どちらも責めていたけど俺も言いようには見られていなかった。 小さな頃から自分がどうやって死ぬかを考える期間もあったくらいだこうやって死ねば誰にも迷惑が掛からねぇと小さな子供の頭をフル回転させて作戦を練って…自らの命を絶つその前に計画は失敗する。 誰からも邪魔された訳ではない、 死ぬのが怖くて出来なかった…。 中学の時に組んだチームのメンバー達は大好きだ。 この世で生きている全員から裏切られ続けてきた人生を変えてくれたのはあのチームがあったからだ。 みんな自分と似たような境遇を持っていてそのチームの創設者であって総長をしていた同い年の男の子は「ここがお前らの居場所だ。」 そう言って俺に居場所をくれた。 特に好きなのは同じ隊のメンバー4人と隊長だったり メンバー4人はバカなやつ多いけど俺の事いつも笑わせてくれて、俺の話も楽しそうに聞いてくれてて大親友みたいになってた。 隊長はただひたすらにかっこよかった。 俺より身長小さくてどっちかといえば可愛いタイプの男なのに俺が危険な目にあった時は必ず助けに来てくれた。 「信は俺の宝物だから。」いつもそう笑って言ってから俺よりも何倍も強い相手に立ち向かって守り抜いてくれていた。 相手に向き合っていた時の背中は超かっこよかった。 俺の憧れの人は、その隊長だったんだ。 )
( そのチームのメンバーの敵に回った他のみんなは大嫌いだ。 俺らの唯一居場所を…、 あいつらが壊しかけたから。 変な理由付けて…、俺達は完全に他の誰も信頼できなくなって…、 大きな戦いの中で沢山のメンバーが負傷。 中には命を落とした奴もいる。 1番最初に死ぬ前のあの感覚を味わったのはその時だった。 俺もあいつらと一緒に死ぬつもりだったのに…、何故か目を覚ましてしまうんだ。 相変わらず続く鈍い痛み。 動かしづらい体を動かしてあいつらの元に帰る。 最初の時は奇跡が起きたと少し喜べたけどそれが何回もあるといつしかこんな事を思ってしまうんだ。 「 なんで生きてんだよ」って…。 それもいつしか「自分にはまだやるべき事があるから死なせてくれねーんじゃねーのか。」と自分なりの勝手な答えを見つけて俺がやるべきことを探していった。 そのチームを1度解散させ、それぞれが成長してもう一度このチームに戻ってくると誓ってみんなとバラバラになったんだ。)
( 妖魔と初めてあったのはチーム解散前日の事。 俺らの居場所を探りたまたまそいつらに見つかった俺は応戦しつつもどちらかといえば逃げていた。 そんな時に俺を襲ったそいつらに向かって妖魔が飛び掛かった。 そこからはあまり覚えていない。 聞いたら駄目な気がするような音と断末魔。 それが消えた頃。妖魔は俺をターゲットにしていた。 あの時は確か…、同じ隊のメンバーが助けに来てくれていた。 一緒に戦ったけどかなり苦戦して、どうにか押し切っていった。 とりあえず急いで逃げていく二人。 その中で自分のやりたい事を、やるべき事を見つけ出したんだ。 だから自分は…、紅ヶ丘学園に入学をした。 自分が存在する事を許してもらえるようにする為には、直接的でも間接的でもいいから妖魔からあいつらを守り抜く事だった。 もっと強くなりたかった。そうすればあいつらを守れたかもしれない。 敵を倒せたかもしれない。 ここに存在する意味を作りたかった。 だから自分は何度も何度も戦った。 一人でずっと……、)
………いっでぇ……、………あ"ー……… やっぱり……目ェ覚ましちまうんだな俺……、( 意識が戻ってくる。 いつもこうだ。 小さくため息を付きながらゆったりと立ち上がる。 )………そうかよ…、 まだやるべき事があんだな……。 ( そう言いながらふらつきつつも歩いていく。 鉄パイプを引きずる。 誰よりも強くならないと誰かを守れない。 誰かを守れる奴は存在を許される奴。 もっと力が欲しい…、 もっと強くなりたい。 あのチームのみんなを守れるように、 大越 信という男がこの世界に存在している事を許してもらう為に…、)やられっぱなしはもう勘弁だぜ……、( そうため息と共に1つそう口にしてその場を立ち去るのだ。 )